日本の学校では文章表現を主に習う。会話表現については、小説のキャラクターがしゃべるような言い回しは習うけれども、ナマの会話で使うような生きた表現は習わない。
本記事では、筆者の高校時代の留学経験を元に、日本の学校では習わないけど、ネイティブスピーカーが友達とのくだけた会話で1日1回以上は発するほどの超頻発表現を紹介する。ここに挙げた表現はどれも、若者の間で使うとリラックスした雰囲気が出て、親近感を湧かせてくれる表現なので、使える相手がいる人はぜひ使ってみてほしい。
What’s up?
「 いやいや、それはさすがに知ってるよ…」と思った人、ではこれに対して適切な返事ができる自信はありますか?マジメな日本人は、
「”What’s up?”は最近どう?って意味だから、え~と最近は…あれ最近?おれ何したっけ?何もしてない?あ、あわわ…」
となってしまうかもしれない→「近況を答えればいいでしょう」
でも、ふつうネイティブスピーカーは”What’s up?”と聞くときに、そんな高度な返答は求めていない。というかむしろ、上記記事のように近況を答えられたら若干面食らうと思う。
実は、”What’s up?”に対する返事の正解は、“What’s up?”と返すこと。
“What’s up?”は、ただ話しかけたくて言っているだけの無意味な挨拶だ。訳語としては「おっす」が一番ぴったり来る。なので、こちらも「おっす」と返せばいいのだ。
実際にWhat’s up?に対して返事をするときは、もうちょっと味を付けて
“Hey ○○, what’s up?” (○○には名前や、man, dudeといった呼びかけ表現が入る)
とか、
“Nothing much, what’s up?” (Nothing muchは「特に何も」という意味だが、無愛想な感じは全然せず、みんなよく使う表現だ)
といった返事をすることが多い。このくらいで全然いいのだ。むしろ、ここは適当に決まり文句を言って場を繋いでおいて、その間に、その後どんな話題を切り出すか等を考えるのがコミュニケーションのやり方というものだ。
同じように、”How are you?”に対しても、ネイティブは”I’m fine”などといったちゃんとした返事をしない人の方が多い。
like
likeにはいろいろな使い方がある。
He is like a baby. 彼は赤ちゃんみたいだ。
といった「~みたいだ」という使い方は学校でも習うが、そこから発展して、「ほら」、「あの」といった、次の言葉が思いつかなくて、探すときの繋ぎ言葉としてもよく使う。
So like I go into this like salon place, y’know And I wanted like to get my toenails done
-それでほら、あの、サロンみたいなとこに行って、ネイルやってもらおうとしたんだけど
こういう風に使う。大げさだと思うかも知れないが、本当に一文で5回くらい言う人もいる。若者の喋り方なので、場面によってwellと使い分けることが大事。くだけた会話ではlike、ちゃんとしたい場合にはwellを使えばいい。ほんとは、あまりどちらも使い過ぎずに喋れるのが一番いいのだけど。
kind of
Maguro is a kind of fish. 「マグロは魚の一種だ」
といった、「~の一種だ」という表現から派生し、次の様に「ちょっと」の意味で使う。
It’s kind of hot today. 「今日はちょっと暑いなぁ」
「暑いの一種」→「ちょっと暑い」みたいな感覚だろうか。発音は「カインダ」もしくは「カイナ」となり、メールでも発音のとおりkindaと書いたりする。
weird
He’s kinda weird. 「彼ってちょっと変だよね」
It tastes a bit weird. 「これちょっと変な味するぞ」
という風に使う。 発音は/wiə:rd/(ウィアード)。「変」全般に使える、とても守備範囲の広い言葉。日本人はことにcrazyという単語を使ってしまいがちだが、crazyは「イカれてる」「狂ってる」「頭がおかしい」という強い意味なので、あまり使わない方がいい。特に、ニンゲンには使わないよう気をつけたほうがいい。
though
文末に金魚のフンみたいにつけて、「~だけどね」というニュアンスを出す。
“Can I have some?” “Sure, it’s not really good, though.”
「ちょっともらっていい?」「いいよ、あんまりおいしくないけど」
接続詞としてしか習っていないと若干違和感のある言い回しだが、これもネイティブスピーカーが口癖のように極めてよく使う言い方だ。
chill out, hang out
両方とも、友達とあてもなく過ごしているようなときに使う。
chill outは、「くつろぐ」というニュアンスがある。
“What are you doing?” “I’m just chilling out with my friends watching TV.”
「何してるの?」「友達とテレビ見てゆっくりしてるだけだよ」
hang outは、「ぶらぶらする」というニュアンス。
“You want to hang out tomorrow?”
「明日何かして遊ばない?」
hangという単語の基本の意味は、ご存知のとおり「(ぶらぶらと)ぶら下げる」という意味だ。英語でも日本語でも共通して、「ぶら下げる」「ぶらぶらする」に同じ単語が使われていることも興味深い。
have fun
「楽しんでいる」という意味で、”enjoy yourself”よりも柔らかい表現。
ちょっとした知人同士で、遊んでいたりアクティビティをしているときに退屈そうな顔をしている人がいたら、“Having fun?”「楽しめてる?」と声をかけてあげると、優しいジェントルマンになれる。
straight
「ゲイではない」という意味。
“Are you gay?” “No, I’m straight.”
「そっち?」「いや、こっち」
アメリカは日本よりもゲイが日常に溶け込んで存在する感覚があり、日本よりもゲイかどうかという会話が頻繁になされている印象がある。
not too sure
「自信はない」「確信はない」という意味でよく使う。
“Do you know him?” “Well, yeah, but I’m not too sure.”
「あの人のこと知ってる?」「う~ん、一応、でも自信ないなあ」
さきほどの文末のthoughをつけて、
“I’m not too sure, though.” 「自信はないんだけどね」
という言い方もよく聞く。
今回選んだ表現は、定番中の定番で、どれもネイティブスピーカーが口癖のようについ使ってしまう便利な表現だ。友達との距離を縮めるにはバッチリのものばかりなので、ぜひ覚えて使ってみてほしい。