サッカー四大リーグの特徴とレベル、CL・ELの仕組みの基本を徹底解説【2019年版】

 

日本代表選手が何人も海外リーグで活躍する時代になり、海外リーグへの興味は高まる一方だ。しかし、海外リーグといってもいっぱいあって何がなんだかよく分からないという人も多い。そこで、今回の記事ではそうした初心者の方向けに、サッカー欧州四大リーグの特徴やレベル、仕組みについて徹底解説する。

サッカー観戦を楽しむための超基本のルール・用語説明も書きましたのでぜひあわせてどうぞ!

 

四大リーグ、CL・ELとは?

四大リーグ

まず前提として、サッカーにおいてはヨーロッパが中心である。確かに、ワールドカップではブラジルやアルゼンチンといった南米の国も、ヨーロッパの強豪に負けないくらい強い。しかし、お金が最重要の要素を占めるプロのクラブチームにおいては、資金力のあるヨーロッパが強いのだ。

四大リーグとは、そんなヨーロッパの中でも人気・実力の面で抜きん出ている4つのリーグを指す。

  • リーガ・エスパニョーラ(スペイン)
  • ブンデスリーガ(ドイツ)
  • プレミアリーグ(イングランド)
  • セリエA(イタリア)

オランダやフランスといった国はワールドカップではお馴染みの強豪だが、クラブチームのレベルではこれら4リーグと比べて一段落ちる。この一番の要因としては資金力が挙げられる。オランダは国の規模が小さく、資金力に劣る。フランスはここ数年、PSG(パリ・サンジェルマン)が石油系のオーナーをバックに潤沢な資金力を得て世界中のタレントを買い漁り、爆発的に力をつけている。2018年ロシアワールドカップで19歳ながら大活躍をしたキリアン・ムバッペや、ブラジルを背負って立つ天才ネイマールもPSGに所属している。

リーグ戦なので仕組みは基本的にJリーグと一緒で、毎週土日に試合が開催され、1年かけてホーム&アウェイの総当り戦が行われる。たとえばブンデスリーガには18チームが在籍しており、それぞれのチームが自チーム以外の17チームとホーム&アウェイで戦うため、17×2=34試合を年間で戦うことになる。Jリーグは毎年早春(3月初め)~晩秋(11月下旬)にかけて行われる一方、海外リーグは毎年9月から翌5月にかけて行われるという違いがある。

かつては「三大リーグ」と呼ばれていた

2010年頃まではプレミアリーグ、セリエA、リーガ・エスパニョーラを合わせて「三大リーグ」と呼び、ブンデスリーガはこれらに続く第四のリーグと目されていた。しかし、世界的な不況の中でも堅実な経営を続けてきたブンデスリーガが力を増してきて、一気にブンデスリーガの時代が到来し始めている

CL・EL

CLはチャンピオンズ・リーグ、ELはヨーロッパリーグのこと。前年の欧州各国のリーグ戦で上位を獲得した数チームだけが集まって行われる、クラブレベルでのヨーロッパ最強決定戦。CLが上位の大会で、ELはCLに出られなかったチームが出場する下位の大会。

CLはまさに夢のような大会であり、その年の世界最強のクラブチームを決める最も栄誉ある大会となっている。

※CL・ELについてのより詳細な仕組みの説明はページ下部に記載

リーガ・エスパニョーラ(スペイン)

略称:リーガ  スペインなので、英語のリーグ(league)ではなくスペイン語のligaから。スペインではラ・リーガ(La Liga)と呼ばれる。英語でいうとThe Leagueといった意味。

特徴

圧倒的な人気と資金力を背景に世界中から才能をかき集めるバルセロナ(バルサ)とレアル・マドリードの2チームが牽引するリーグ。この2強は毎年チャンピオンズ・リーグでも決勝辺りまで絡んでくる、世界最高のクラブ。それゆえリーグの優勝争いはほぼこの2強に絞られており、リーグ戦の結果占いはつまらないといえばつまらない。近年はアトレティコ・マドリードの躍進が著しく、2013-2014シーズンは10年ぶりに2強であるバルサとレアル以外のチームがリーグ優勝を果たした。これら3チームのCL(チャンピオンズ・リーグ)での活躍に加え、中位チームがしっかりとEL(ヨーロッパ・リーグ)で活躍しており、近年のリーガ・エスパニョーラは世界最高のリーグと目されている。

ヨーロッパ全体の視点で見ても、バルセロナとレアルマドリードは最強と見られている。2019年の欧州のクラブシーンは、前年に引き続きリーガ・エスパニョーラのバルセロナとレアルマドリードの2強の存在感が大きい。

バルセロナはポゼッション(ボール支配率)を高めて短いパスを繋いでゴールに向かっていく華麗なスタイルをとる一方、レアルマドリードは身体的な強さ(速さ・高さ・強さ)を活かした迫力あるカウンターアタックを見せることが多いという特徴がある。

リーガ・エスパニョーラでは攻撃的な戦術をとるクラブが多く、FWの得点数がインフレする傾向にある。特に、メッシが2011-2012シーズンに打ち立てたリーグ37試合50ゴールの金字塔は、もう二度と更新されることはないのではないかと思われるほどの大記録だ。

どちらかといえばフィジカル(身体的強さ)よりもテクニック重視の傾向にあり、試合は華麗で楽しく観られるものが多い。小柄な選手でも活躍できる風潮がある。下部組織のスカウティングと育成がしっかりとしており、特にバルセロナは継続して下部組織(カンテラ)から世界最高の才能を輩出し続けている。現在日本のFC東京(→Fマリノス)や年代別日本代表で活躍する久保建英選手がバルセロナの下部組織に所属していたことも有名。

経営面は国の状況に並行して不健全で、5年前に「余命5年」を宣告した記事まである。

「余命5年」 “ 死”に近づくリーガ・エスパニョーラ | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

1部20クラブの負債総額は36億ユーロとなっていますが、その額は日増しに上昇しています

日本人選手

かつては城彰二、大久保嘉人、中村俊輔、家長昭博、指宿洋史、ハーフナー・マイクといった日本を代表する才能をもった選手たちがリーガ・エスパニョーラに在籍したが、誰も成功することはできなかった。

2019年2月現在は、乾貴士がアラベスに、柴崎岳がヘタフェに在籍し、奮闘している。

乾は2015年にSDエイバルに移籍して以来、リーガ・エスパニョーラでプレーしている。2015年から2018年まで所属したエイバルでは、絶対的なエースとまでは言えないとしても、ある程度の信頼を得て活躍を続けていた。その後、2018-19シーズンからは同じリーガ・エスパニョーラのレアル・べティスに移籍したものの、出場機会は減少。2019年からはアラベスに移籍している。

柴崎岳は、2017年初めからスペインでプレーしている。しかし体調不良や怪我の影響もあり、まだ継続的な活躍はできていない。

乾・柴崎両者ともテクニカルでリーグの特徴にあった選手なので、より一層の活躍が期待されている。

注目選手

何と言ってもバルセロナに所属するメッシ。そのほかにも人気・実力ともに超一流の選手たちが2強のバルセロナとレアルマドリードに流れ込んでいる。FW以外でも、レアル・マドリードのモドリッチ等、涼しい顔で超絶テクニックを見せるテクニシャンが多い。

バルセロナとレアル・マドリードはリーグ戦で必ず年2回、その他カップ戦やチャンピオンズリーグでもたびたび対戦するのだが、この試合はエル・クラシコまたはクラシコと呼ばれ、そのシーズンの世界最高峰の試合となる。圧倒的なテクニック、優勝争いを決定づけることになるライバル同士の直接対決といったサッカーの髄が観られる試合である。

リーガ・エスパニョーラの今後

2019年現在、リーガ・エスパニョーラの2強クラブの強さが継続するかどうか、やや不安なところがある。その理由の一つは、メッシの加齢と、クリスティアーノ・ロナウドのセリエAユベントスへの移籍。超人的な活躍を続けてきた二人がリーガ・エスパニョーラでの活躍を終えてしまったとき、新たな輝きを発掘できるかどうかが人気を維持できるかどうかの鍵となるだろう。

また、二つ目の理由は、2010年前後のバルセロナ黄金時代を牽引したグアルディオラ監督が、2019年現在はプレミアリーグに在籍していること。サッカーの新たな時代・戦術を作ってきた名監督がプレミアリーグにいる以上、新時代のスターが彼のもとでのプレーを求めてプレミアリーグに移籍することも考えられる。

今後、リーガ・エスパニョーラのバルセロナとレアル・マドリードがサッカー界を引き続き引っ張るのか。それともプレミアリーグのマンチェスター・シティを中心とする強豪チームが新たな時代を創るのか。ヨーロッパサッカー界の一つの見どころである。

ブンデスリーガ(ドイツ)

略称:ブンデス

特徴

世界一の観客動員数健全な経営により、急激に実力と名声を伸ばしてきているリーグ。かつてはブンデスリーガは「三大リーグ」に次ぐ第四のリーグと言われていたが、近年はバイエルン・ミュンヘンとドルトムントの活躍により、そうした印象はすっかりなくなり、「四大リーグ」という言葉が定着した。

現に、2017年3月17日発表のUEFAカントリー・ランキングでは、リーガ・エスパニョーラに次いで2位につけていた。2018年4月11日付のランキングでは、1位スペイン、2位イングランド、3位イタリア、4位ドイツ、5位フランス、6位ロシア、7位ポルトガルと、ドイツが2位から4位に後退してしまったが、2位~4位のUEFAカントリー・ランキングの評価点は微差である。

ブンデスリーガは世界最高の身長を誇るゲルマン系民族を中心に選手が在籍するので、全体的に大柄な選手が多い。一般的に、大柄な選手は空中戦に強い一方で足元のテクニックや一瞬のスピードに欠けることが多いので、小柄な日本人選手がその弱みをついて活躍しやすいリーグとなっている。また、真面目な民族性も日本人にあっているようで、「日本の有望な選手はとりあえずドイツに移籍する」という定番の流れが出来つつある。

ブンデスリーガは「バイエルン・ミュンヘン一強」というイメージがあり、ドイツ人であればバイエルンに所属して活躍することは憧れとなっている。たまにドルトムントやヴォルフスブルクといったチームがリーグ優勝することはあるが、そうしたチームの有力選手をバイエルンがかっさらってしまい、翌年にはバイエルン一強に戻っていることが多い。

日本人選手

上で紹介した特徴から、非常に多くの日本人選手が今までブンデスリーガに在籍してきた。

ドイツ・ブンデスリーガに所属する日本人サッカー選手一覧 – Wikipedia

2019年2月現在、ブンデスリーガに所属している日本人選手は長谷部誠、宇佐美貴史、大迫勇也、原口元気、浅野拓磨、久保裕也。それから2部には酒井高徳、宮市亮、井手口陽介等。ほとんどそのままで日本代表になりそうなメンバーだ。

長谷部誠はドイツ経験が長く安定した戦力に数えられており、原口元気、大迫勇也も得点数は伸びないながら、まずまずの活躍を見せている。

かつてドルトムントに所属した香川真司はブンデスリーガ屈指の名選手に数えられるほどの活躍を見せており、2010/11シーズン、2011/12シーズンのドルトムントのブンデスリーガ連覇の中心選手として躍動した。

宇佐美貴史は若干20歳のときにバイエルン・ミュンヘンに所属し、CL決勝の舞台にベンチ入りしたものの、出場機会はなくチームもPK戦の末に敗れている。継続的な活躍はできておらず、監督に怠惰な練習姿勢を公然と指摘されるなど、苦境が続いている。

ブンデスリーガに日本人GKがいないのが残念なところだが、もし日本人GKがドイツに移籍したあかつきには、ぜひブンデスリーガ所属日本選手vs.ブンデスリーガ選抜で親善試合が行われて欲しいと思う。

注目選手

バイエルン・ミュンヘンには世界最高の才能が集まっている。特に、GKのマヌエル・ノイアーは近年最高のGKとの呼び声が高く、GKなのにドリブルで相手選手を抜いたり、ハーフウェイラインを越えるような弾丸のスローイングを見せたりといった魅せるプレーも多い。

また、2014年ブラジルワールドカップで日本代表を苦しめたコロンビア代表のハメス・ロドリゲスや、2018年ロシアワールドカップで日本代表が対戦したポーランド代表のレバンドフスキがFWとして在籍する。レバンドフスキはここ数年乗りに乗っており、得点を量産しまくっている。

その他、ドイツ代表のマルコ・ロイスや、21歳の若き才能、ルカ・ヨビッチなどが活躍している。

香川真司の所属していたドルトムントには、毎年のように若い選手が補強されてきて、しかも抜群の活躍を見せてバイエルンやバルセロナ、あるいはマンチェスター・シティやユナイテッドといった超一流クラブへと巣立っていく。

プレミアリーグ(イングランド)

略称:プレミア

特徴

上位から下位チームまで「弱い」チームがなく、毎試合盛り上がることから世界最高のリーグというイメージが強いプレミアリーグ。その要因はメディア戦略の成功であり、2000年代から放映権料の収益で他国を突き放し、その収益の分配によって下位チームも戦力補強ができるシステムが作られていた。

「テクニック勝負」のリーガ・エスパニョーラに対して、「フィジカル勝負」のプレミアリーグというイメージがある。とにかく前にボールを蹴って、身体能力(速さ・強さ・高さ)を活かして勝負する。迫力があり、時にはサッカーではなくラグビーを見ているのではないかと思うほどだ。最近は、それほどフィジカル重視という印象も薄れてきたが、やはりリーガ・エスパニョーラと比べると違いは感じる。

プレミアリーグには「ビッグ4」と呼ばれるクラブが存在する。チェルシー、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド、リヴァプールだ。これらのクラブは伝統的に人気・実力が抜きん出ており、世界的に見ても熱心なファンが多い。日本でも、昔から熱心に海外サッカーを見ている人の多くはこの4クラブのどれかのファンであるという印象がある。

近年はビッグ4が実力的に他のチームを圧倒するというわけではなくなってきている。現に、2015/2016シーズンの上位3チームであるレスター、トッテナム・ホットスパー、マンチェスター・シティはいずれもビッグ4には数えられていないクラブだ。トッテナムとマンチェスター・シティの2チームは2019年現在も優勝争いをしており、継続的に活躍している。

日本人選手

かつては稲本潤一、川口能活、中田英寿、宮市亮、李忠成、香川真司といった名だたる名選手がプレミアリーグに所属してきたが、いずれも納得のいく活躍ができたとはいえない。香川真司はマンチェスター・Uで一定数の試合に出場したが、ドルトムント時代ほどの輝きは見せられず調子を落とし、移籍は失敗だった(少なくとも成功ではなかった)と言われている。

現在は吉田麻也(サウザンプトン)、岡崎慎司(レスター)、武藤嘉紀(ニューカッスル・ユナイテッド)の3選手がプレミアリーグに所属している。吉田麻也は不動のレギュラーではないが、忘れ去られもせず、まずまずの活躍をしている。DFが海外リーグでレギュラーをとるのは特に難しいとされる中で、プレミアリーグで継続的に試合に出ているのはそれだけで快挙と言っていい。2016/17シーズン吉田麻也は躍動し、カップ戦での決勝進出の立役者と言われるほどの大活躍を見せた。

岡崎慎司は、なんといっても移籍初シーズンとなった2015/16シーズンのレスターの奇跡のプレミア優勝が話題となった。この優勝を牽引したのはヴァーディ、マフレズ、カンテといった選手たちであり、岡崎慎司は「いないと困る」という存在にはなりきれなかった(それでもほぼレギュラー扱いだったが)。2015/16シーズンのレスターの動向についてはレスター奇跡の優勝達成!に詳しくまとめたので見て頂きたい。

武藤嘉紀選手はベンチや後半途中からの出場が多く、今後さらなる奮闘が期待される。

注目選手

今、注目の選手は、トッテナムの快進撃を牽引するイングランド代表の若き国産FWハリー・ケインと、「エジプトのメッシ」と呼ばれるリヴァプールのFWモハメド・サラー。リヴァプールは2018年、サラーのおかげでCL決勝まで進出した。

くわえてレスターの快進撃に貢献してチェルシーに移籍し、「地球の三割は彼がカバーしている」と言われるカンテや、アーセナルに所属するパス・アシストの天才メスト・エジル。マンチェスター・ユナイテッドには将来のバロンドール候補とうたわれたポール・ポグバ。マンチェスター・シティにはセルヒオ・アグエロやレロイ・サネがいる。

セリエA(イタリア)

読み方:セリエアー  イタリア語なので「セリエアー」と読まれる。間違っても「セリエエー」と読まないように注意したい。

特徴

セリエAは、1990年代には世界最高のリーグだった。この頃はユヴェントス・ミラン・インテルのビッグ3が欧州サッカー界の中心に君臨していた。そのため、日本代表の本田圭佑も小学生時代の卒業文集で「セリエAに移籍すること」を夢に挙げていた。(ご存知のとおり、後に本田圭佑はミランに移籍してこの夢を叶えている)

2010年代前半には、ユヴェントス以外の2チームのミランとインテルは没落してしまい、セリエA全体としてもかつてほどの人気や実力が保てない状態が続いていた。2013年頃は最悪で、セリエAを外して残りの3リーグで「三大リーグ」と呼ぶのがふさわしいのではないか、とさえ囁かれていた。2014/15シーズンのユヴェントスのCL決勝進出によりそうした声はかき消され、さらに近年のナポリやローマのCLでの活躍により、セリエAは復調傾向と見られている。

1950年代・60年代はカテナチオと呼ばれる堅い守備からカウンターを狙う戦術が流行した。これがイタリアサッカーの伝統として残り、今もイタリアサッカーといえば「堅い守備」「ウノ・ゼロ(1-0)の美学」と表現されることが多い。一方、現代に目を転じると、2014/15シーズンにユヴェントスが稀代のMFピルロを中心に攻撃的なサッカーを繰り広げ、CL決勝進出を果たしたこともあり、そうした「守備重視」の印象は薄れ始めている。ただ、現代でもFWの得点数が他のリーグより低く抑えられる傾向は残っている。

日本人選手

三浦知良、中田英寿、名波浩、中村俊輔、柳沢敦、小笠原満男、大黒将志、森本貴幸、本田圭佑、長友佑都といった名選手たちがかつてセリエAに在籍した。この中ではっきり活躍したと言えるのは中田英寿のみ。

本田圭佑はミランの10番を背負いながらも、結局最後まで期待に沿うほどの活躍をすることはできず、メキシコのパチューカへと移籍していった(2019年現在はオーストラリアにて活躍中)。

長友佑都はファンに愛されて長くインテルで活躍したが、2014年ブラジルワールドカップでグループリーグ敗退に終わってからは、少し燃え尽きてしまったのか調子を落として準レギュラー状態となってしまい、2018年初めにはついに出場機会を求めてトルコのガラタサライへとローン移籍した。

注目選手

有名選手では、ナポリからユベントスに移籍したFWゴンサロ・イグアインがいる。イグアインは、ケガが多いために実力の割に評価されることの少なかったストライカーだが、2016年は継続的に試合に出場し、爆発的な結果を残した。

2018年は、ドルトムントの香川真司選手の元同僚で、ラツィオに移籍したチーロ・インモビーレ選手、長友選手の元同僚でインテルで活躍するマウロ・イカルディ選手、ユベントスの若き天才パウロ・ディバラ選手などがゴールを量産して活躍している。

四大リーグの今後の展望

現在、世界最高峰のチームといえば、リーガ・エスパニョーラのバルセロナとレアルマドリードである。それを追いかけるのが、プレミアリーグの上位勢(マンチェスター・シティ、チェルシー、リヴァプール、トッテナム・ホットスパー、マンチェスター・ユナイテッド)や、ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘン、セリエAのユベントスとナポリ、そしてリーガ・エスパニョーラのアトレティコ・マドリードといったクラブである。

しかし、リーガ・エスパニョーラが今後もずっと世界最高のクラブを擁し続けるかどうかは分からない。クリスチアーノ・ロナウドはユヴェントスへと去り、さらにメッシももう若いとはいえない。ネイマールやムバッペはPSGにいる。また、世界最高の監督と名高いグアルディオラ監督は、マンチェスターシティにいる。世界最高の才能が全員リーガ・エスパニョーラに集結していた時代は終わり、いまは世界各国のリーグに煌めく才能が点在している。

最も健全な経営を行っているドイツ・ブンデスリーガは、ドルトムントやシャルケといった二番手・三番手のチームがよりブランド力を築ければ、世界最高のリーグへと成長していくだろう。サッカーの熱心なファンが非常に多く、また国の経済力も強いドイツのブンデスリーガは2020年代以降の覇権を握っているかもしれない。

これら四大リーグにくわえ、近年成長著しいのがフランスのリーグ・アンである。パリ・サンジェルマンが巨額の移籍金を支払ってバルセロナからネイマールを強奪したのは記憶に新しいが、このチームにはその他にもムバッペ、カバーニ、ディ・マリアといった超有名選手が数多く在籍する。また、オリンピック・マルセイユでは現在、日本代表の右サイドバック酒井宏樹が獅子奮迅の活躍を見せている。

チャンピオンズリーグ(欧州全域)

略称:CL(シーエル)

CLの仕組み

参加32チームを、4チームx8グループに分ける。グループごとに総当たり戦(グループリーグ)を行い、上位2チーム(8グループあるので合計16チーム)が決勝トーナメントに進む。この16チームでトーナメント戦を行って優勝チームを決める。

基本の仕組みはワールドカップと同じになっている。

出場クラブの決定方法

参加対象国は実に54カ国もあるようだが、実際に本戦に出場するのはスペイン・ドイツ・イングランドから4チーム、イタリア・ポルトガル・フランスから2~3チーム、ロシア・オランダから1~2チーム、ウクライナ・ベルギー・トルコ・ギリシャから1チーム、スイス・オーストリア・チェコ・ルーマニア・イスラエル・キプロス・デンマーク・クロアチア・ポーランド・ベラルーシ・スコットランド・スウェーデンから0~1チーム程度、あわせて32チーム。その他の国のチームは予選で敗退してしまって、本戦に出てくることはあまりない。これらの国別の出場枠数は、過去のCL・EL出場チームの成績によって決まるUEFAランキングのカントリーランキングによって決まっている。

また、こうして決まった各国のCL出場枠の中にどのクラブチームが入れるかは、前年の欧州各国の自国リーグの成績によって決まる。たとえば、2015/16シーズンのプレミアリーグの1位~4位はレスター、トッテナム・ホットスパー、マンチェスター・シティ、アーセナルとなっている。この場合、翌シーズンのイングランドからのCL出場チームはこれら4チームということになる。

このように、前シーズンの各国リーグのチャンピオンチーム達が集まって優勝を競う仕組みになっているため、「チャンピオンズ・リーグ」と呼ばれているのだ。

CLっていつの間にやってるの?

「CLに出てるチームって、自国のリーグ戦もあるのにいつの間にCLに出てるの?」と思う人も多いだろう。正解は「水曜日」。リーグ戦は基本的に土日に行われるので、リーグ戦とリーグ戦の合間の水曜日に試合を行うのだ。ただ、アウェーゲームのときはヨーロッパを股にかけてアウェーまで遠征をして試合をして、帰ったら週末には自国でリーグ戦という忙しすぎる日程になっている。

ちなみに、CLの試合自体は、グループリーグは2週間~3週間に1回のペースで行われる。

W杯より権威あるCL?

W杯が圧倒的な人気を誇る日本にいては信じられないかもしれないが、欧州のサッカーシーンにはW杯よりもCLを優先して考える選手もいる。サミュエル・エトオなどは、代表戦に選出されて試合が増えてコンディションを落とすのが嫌で、一時期代表を引退していたほどだ。

もちろん、W杯で優勝するというのは、サッカー選手にとっては子どものころからの一番の夢に違いない。

しかし、クラブが金で選手をかき集めることが当たり前となっている現代においては、W杯決勝よりもCL決勝の方が純粋にサッカーとしてのレベルが高いのも事実である。CL決勝戦には、その年の最高の選手たちが出場し、1年間リーグ戦を戦って深まった戦術的連携を披露する。その年の世界の最先端のサッカーがそこにあるのだ。

W杯は夢の舞台。CLは最高峰の舞台。どちらが上、というのは人それぞれ違うが、こうした違いがあることは確かだ。

ヨーロッパリーグ

ELは、CLの下位にあたる大会で、各国リーグからCLに出場できなかったチームのうち上位のチームが集まって争う大会。したがって、「EL優勝」と言われても、正直言ってどう捉えていいのかよく分からないという面がある。たとえば、EL優勝回数が最も多いのはスペインのセビージャで4回だが、そう言われても「えっすごいね…ん?すごいの?セビージャって強いの?弱いの?」と思ってしまうかもしれない(十分強いのだが)。

ELの結果を見て分かることの一つは、EL決勝にチームを送り込む国のリーグは中位層が厚いということだ。たとえば、ここ4年間でEL決勝に進んだ8チームのうち実に4チームをスペイン勢が占める一方で、ドイツブンデスリーガからは1チームもEL決勝には進んでいない。この結果から分かることは、スペインのリーガ・エスパニョーラは、バルセロナやレアル・マドリード、アトレティコ・マドリードといったCL常連勢だけでなく、その下の中位層グループもしっかりと実力を持っているということだ。一方、ブンデスリーガの中位層グループはEL決勝に進めるほどの力がなく、ブンデスリーガは中位層の実力がやや劣るということが分かる。

 

サッカー観戦を楽しむための超基本のルール・用語説明も書きましたのでぜひあわせてどうぞ!

 

18 comments On サッカー四大リーグの特徴とレベル、CL・ELの仕組みの基本を徹底解説【2019年版】

  • すごい分かりやすかったです!
    とても丁寧で好感が持てました!!!
    ありがとうございます

  • 詳しい説明をありがとうございます‼︎勉強になりました‼︎とっても分かり易かったです。
    なるほど〜‼︎
    毎回四年に一度、W杯の時にだけどハマりしてしまう完全なにわかサッカーファンでしたが、これからはCLを観てみたいと思います‼︎いつか現地に観に行きたいです!

  • 分かりやすくて詳しい立派な解説でした。

  • ファンになりました

    わかりやすい記事に感服いたしました。
    言葉の選び方や構成なども心地よく、
    塾講師が転職というのも頷けます。
    本当に頭のよい人は違うなぁと思わされました。
    日本代表の考察もうんうん頷きながら読みました。
    有用な記事をありがとうございました。

  • >フランスは意外とサッカー人気がない(人気スポーツランキングでサッカーは日本では3位、フランスでは6位)
    ここを読んで「そうなんだ、じゃあフランスではどんなスポーツが人気あるんだろう」
    と思ってヤフーやグーグルでざっと調べましたが、フランスでの人気スポーツ一位はサッカーとする
    記述しか得られませんでした。
    この記述のソースはどこなのでしょうか?

    • コメントありがとうございます!
      私も改めて調べてみましたが、該当の記述は見つけられませんでした。数年でそんなに劇的に変わるようなものとも思えないので、もしかしたら執筆時に何か別のことを読んだのを誤解したのかもしれません。
      該当部分は訂正いたします。ご指摘誠にありがとうございます。

  • 名無しさん

    長友が活躍してないとか、岡崎がいなくてはならない存在じゃないとか、試合観てないんですね。

  • バルサからjリーグはべギリスタインやサリナスが居たんじゃないかな。
    どっちも他クラブ挟んでるけど良い選手でした。

    良い記事ありがとうございます!

  • ほぼ合ってるけどプレミアが前に蹴ってフィジカル勝負って表現は古いと思う。外国人監督が増え戦術も多様化してきてるし下位クラブでもテクニック重視なクラブがあったりと様々。特徴としては主審がファールを流す傾向にあるので当たりの強さだったり展開の速さは他のリーグとは違う。ウィンターブレイクが無かったりカップ戦が多かったりと日程的に世界一ハードなリーグでもある。※今期よりウィンターブレイクが導入される

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  • 分かりやすいですね、世界四大リーグは間違いなく、スペイン、イングランド、ドイツ、イタリアです。
    パリサンジェルマンは確かに、資金力を活かして、スーパースターを買い集めてメガクラブになってきましたが、まだまだ、世界四大クラブのレアル、バルセロナ、バイエルン、マンチェスターユナイテッドには及ばないですよね。

  • イグアインは今、チェルシーなので修正お願いします。

  • 若干ふわふわっとしたイメージでしかなかったヨーロッパリーグの立ち位置が、非常によくわかりました。

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