仕事が楽しくない人へ:良い仕事とは何か。なんのために、どこで働くべきか。

仕事は好きか

仕事は楽しいですか?

楽しいと答える人は、恵まれていますね。

でも、人間は自己肯定しがちな生き物です。本当は楽しくなくても、楽しいと答えてしまう人もいます。質問を変えてみましょう。

平日と休日、どちらが好きですか?

仕事が楽しいと答える一方で、休日の方が好きと答える人も少なくないと思います。休日が好きというのは、仕事が無い方が嬉しいということです。

この人にとって、ほんとうに仕事は楽しいのでしょうか。ほんとうは、仕事は楽しくないし、できればやりたくないのだけど、不満というほどでもないので、一応「楽しい」と言っているだけなのではないでしょうか。

宝くじが当たっても働くか

あなたは、宝くじが当たっても働き続けますか。宝くじが当たって、働かなくてもよくなったら、それでも仕事を続ける人はどれくらいいるでしょうか。

定年退職後も働くか

あなたは、定年退職後も働き続けたいですか。定年退職しても働き続ける人はどれくらいいるでしょうか。

これらの質問に対する答えによっても、自分がほんとうに仕事を楽しいと思っているかどうかが測れます。

休日数を選べるとしたら

一週間のうちの休日数を自由に決められるとしたら、何日に設定するのが良いでしょうか。

人はあまり休みが多すぎても堕落して幸せの質が滑落していきます。かといって、一週間に5日8時間働くというのは、幸福のバランスからすれば義務の量が多すぎるように思います。

国は、戦争に勝ち国民を守るため、国民を最大限働かせ、生産性を高め国力を強めるようにしてきました。でも、現代はもうその必要はないのだとしたら、人が最大の幸せを感じるためには週休は何日がいいのでしょうか。

こういう風に考えていったとき、「出勤日は少ない方がいい」と思う人ほど、仕事というものに対する耐性が低いです。仕事によってストレスを溜めやすいということでもあります。こういう人は、慎重に仕事を選ぶ必要があります。

では、どのようにして仕事を選べばいいのでしょうか。

仕事は目的か手段か

仕事には、「目的性」と「手段性」があります。

目的性の高い仕事

「仕事が目的」の人にとっては、仕事は楽しくて楽しくてしょうがないものです。

ぼくは、塾講師のアルバイトをしていたときはそうでした。バイトが楽しみで、うきうきしながらバイトに行っていました。バイトに行って授業をすること自体が目的で、それによってお金が得られることは副作用に過ぎませんでした。なので、コマが無くても塾に行き、バイト代が出なくても自主的に補講をしました。何十連勤もしていたように思います。塾講師時代のぼくにとって、バイトはお金を稼ぐ手段ではなく、それ自体が目的と化していました。

「仕事が目的」の人は、仕事それ自体が楽しくて、ほかに何のメリットがなくても喜んで仕事をします。こう見ると、なんだか幸せそうですね。「目的性の高い仕事」とは、何か別の目的を達成するための手段としての仕事ではなくて、仕事それ自体が目的であるような仕事のことを言います。

でもぼくは、自分にとって目的性が高かった塾講師のバイトを当然のように辞めて、公務員としてフルタイムで働き始めました。なぜか。それは、このバイトがお金を稼ぐ手段としては弱かったからです。バイトで稼げるお金は、どんなに頑張ってもたかが知れています。これでは、若いうちは良いですが、だんだんしんどくなってきます。

手段性の高い仕事

ぼくは塾講師のバイトを辞めて、公務員になりました。

いろんな理由がありますが、早く安定した定職に就いて結婚したかったというのが主な理由です。公務員は、その手段としては最適でした。安定性は抜群で、お給料もそれなりに良く、それなりに残業して40代で年収1000万円はリアルに見える世界です。

「手段性の高い仕事」とは、仕事それ自体は楽しくないけれど、何か別の目的を達成するために適した仕事のことを言います。世の人気就職先ランキングの上位は、手段性の高さ(安定性・高収入等)が理由であるように思います。公務員は手段性の高さでは抜群です。

でも、公務員としての仕事はあまり楽しくなくて、平日は朝起きるのが憂鬱でした。いろいろな理由があり、ぼくは公務員を辞めました。

ところで仕事を手段として捉えたとき、その対象は何もお金ばかりではありません。

たとえば、「成長して市場価値が高いサラリーマンになる」ために、その手段として外資系コンサルに就職する人もいます。「有名な人気者になる」ために、その手段としてテレビ局のアナウンサーになる人もいます。「自分の才能を証明する」ために、その手段として、学者やプロ棋士になる人もいます。仕事を何かの手段として見るとき、その対象は、お金みたいに世俗的なものもあれば、自己実現みたいにキラキラしたものや、社会貢献みたいに高尚なものまでいろいろあります。また、就活するときには口先で高尚なことを言っても、実際の目的は待遇面であるというのはよくあることです。

一般的には仕事を選ぶとき、仕事それ自身の目的性の高さよりも、他の目的を達成するための手段性の高さを重視する人は多いです。それはなぜでしょうか。お給料や残業時間が数字で表せるので、目に見えて他の仕事と比較しやすいからでしょうか。

目的性の高さと手段性の高さを組み合わせれば、2×2で以下の4種類の組み合わせができます。

目的性 – 低 目的性 – 高
手段性 – 高 勝ち組・社畜 幸せ?
手段性 – 低 負け犬 夢追い人・酔狂

それぞれの要素を改めてざっくり解説すれば、

「目的性が低い」は、仕事それ自体が楽しくないこと。

「目的性が高い」は、仕事それ自体が楽しいこと。

「手段性が高い」は、仕事内容以外に何らかのメリット(金銭・待遇・環境等)が大きいこと。

「手段性が低い」は、仕事内容以外のメリットが乏しいこと。

塾講師のバイトは、ぼくにとっては目的性が高く(つまり仕事それ自体が楽しく)、手段性が低かった(仕事内容以外のメリットがあまり無い)ので、そのころのぼくは夢追い人・酔狂の部類でした。

公務員の仕事は、目的性が低く(仕事自体は楽しくなく)、手段性が高かった(仕事内容以外のメリットが大きい)ので、勝ち組・社畜の部類です。

目的性も手段性もどちらも低い仕事には就きたくないですが、諸々の理由で仕方なく就いている人もたくさんいるはずです。目的性も手段性もどちらも高い仕事に就くのが理想ですが、なかなかこれを実現できる人は多くいません。

その理由の一つは、仕事というのは、そのほとんどがつまらない(目的性が低い)ものだからです。「お金が発生する」ことの一つの条件は、人がやりたがらないことをやることです。放っておいても誰かが楽しんでやるようなことには、あまりお金は発生しません。

どの仕事を選ぶか

もちろん、目的性も手段性も高い仕事を選ぶのが良いに決まっているのですが、

人生、何でもかんでも思い通りにいくわけではありません。

過去の自分の経験から、自分は何には妥協ができて何にはこだわりがあるのかをよく考えたうえで、仕事内容を重視するのか、待遇を重視するのか、その割合を決めることで、より満足のいく仕事が選べると思います。

特に高学歴の大卒の人は、周りの目を気にしたりして、年収や待遇が良い会社ばかりを狙いがちになってしまい、その結果仕事が楽しくなくて数年のうちに離職してしまうケースが多いと感じます。

「仕事は仕事」として割り切るのも一つの手ですが、1日の起きている時間の半分またはそれ以上、しかも心身ともに充実している時間帯を捧げる仕事なので、お給料や待遇面を少し妥協してでも、自分にとって楽しく思える仕事に就くことは大事です。

ワークライフバランス

特に家族がいる場合、仕事が楽しくて仕事に打ち込むことが、必ずしも家族全員を幸せにするとは限りません。

ワークはあくまで、ライフの一部分に過ぎません。ライフ全体が最適になるためには、ワークの量やあり方はどうであるべきなのか。この答えを出す難しさが、ワークライフバランスを問うことの難しさであり、楽しさでもあると思います。

職場環境から良い仕事を選ぶ

仕事の良し悪しは、目的性と手段性の高さだけではありません。目的性や手段性は、自分自身で選んだり、努力で改善したりしやすいものですが、なかなか自分の努力ではどうにもならない要素も存在します。

その大きな一つの要素に、「職場環境」があります。

人、特に上司

「職場環境」には、場所やオフィスの清潔感等々いろいろありますが、中でも最重要なのが「」です。

特に、人は人に評価・承認されたい生き物です。そうであれば、自分を評価・承認する立場である上司や雇用主は、非常に重要な存在です。

良い上司とは

良い上司は、一般的に定義することが難しいです。なぜなら、部下の一人ひとりにとって、良い上司というのは異なるからです。

部下はそれぞれがそれぞれの目的を持っています。「会社人としての成長」「楽しく仕事がしたい」「何か大きなことを達成したい」「仕事はどうでもいいから早く帰りたい」などなど。それぞれのモチベーションが違うので、ひとりひとりにとって、良い上司像は異なります。

とはいえ、大まかな傾向としては以下の4つは挙げられます。

  • 褒め上手
  • 聞き上手
  • 部下を信頼し、任せる
  • 公明正大

しかし、上司を選ぶことは非常に難しく、運任せの面が否めません。したがって、大事なことは、悪い上司にあたってしまった場合、特に理不尽に叱られまくる場合は、自分を責め過ぎず、適切な程度に上司を(心の中で)責めることが大切です。そうすることで自分を正常に保ち、その期間を「やり過ごす」というオプションがうまれます。

一方、良い上司にあたった場合には、なぜその上司が良いのか、自分が真似できるところは何か、きっちりと学ぶ(盗む)ことで、自分が上司の立場になったときに活きるはずです。

良い雇用主とは

社長はどういう人が良いでしょうか。

社長という人種は、ほとんどがビジネスマンタイプです。また、事業面で成功する社長ほどその傾向が顕著です。ビジネスマンタイプの社長は、お金を作ることを最善とし、隙あらば顧客からお金を、従業員から労働を搾り取ろうとします。というと聞こえが悪いですが、これは従業員を(リストラや倒産等から)守ることに繋がります。

一方、何らかの崇高な理念があって、良い事業をすること、良い職場を作ることを最善とする社長も中にはいると思います。ただ、そんな悠長なことばかり考えていては、競争が厳しい社会の中、会社はすぐに潰れてしまい、従業員にとって一番不幸な状態になってしまいます。これでは本末転倒なので、当然ですが社長はやはり利益を執拗に追い続ける必要があり、そのためには異常に辣腕であるか、さもなくばどこかで鬼の顔を見せる必要が出てきます。

社長は

  • 異常に優秀
  • 従業員に厳しい

のどちらかで無いと、従業員を守り続けることがなかなかできません。

「あえて」中小企業という選択

大企業であれば、社長の人柄が平社員の仕事にまで与える影響はなかなか見えづらいですが、中小企業では、「就職先を選ぶ」=「社長を選ぶ」に近いものがあります。

これは中小企業で働くことの一つのメリットです。中小企業の場合には大企業よりも、自分に対して指揮権を持つ人がどういう人かが働く前から見えやすいので、「誰の下で働きたいか」という基準で仕事を選ぶことができます。

「仕事内容よりも一緒に働く人の方が大事」という人は、実は大企業よりも中小企業を選ぶメリットが大きいです。有名で規模が大きい会社でなくても、事業成績・理念ともに優良な会社は探せばあります。

そういう自分に合った会社を探し、見つけることが、良い仕事を見つける一番簡単な方法のように思います。そして、自己分析とは本来、大企業に自分を捻じ込むためではなく、自分が本当にフィットインする会社を見つけるためにするべきものだと思います。

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