【都立高校受験必勝勉強法】時期ごとの取組み・過去問の解き方・オススメ問題集等(共通問題編)

ぼくは昔、とある大手高校受験塾で中学3年生(受験生)を教えていた。教科は数学が中心で、講習を含めると全教科教えたことがある。

生徒は初めは真ん中くらいの学力だったけど、よくついてきてくれて、冬頃には数十校合同の合宿で数学のテストが行われると、自分の担当クラスの平均点が塾全体のトップをとったりもした。生徒たちは、共通問題校だと駒場や三田といったトップクラスの学校に合格してくれた(グループ作成校に受かった子も複数)。受験期には、都立共通問題の過去問(全員解いたことが無い年のもの)のクラス平均が90点を超えることもあった。そういうわけでぼくは、都立高受験の成績を上げる方法については、めちゃくちゃ詳しいつもりだ。

その経験をもとに、中3の成績を上げる方法・入試に合格する方法を、できるだけ分かりやすくまとめてみた。なるべく具体的になるように、勉強への取り組み方からオススメ問題集、Vもぎ・Wもぎの受け方、過去問の使い方、入試直前の準備まで紹介したので、参考になれば嬉しい。

 


一学期(4月~7月前半)

計算力アップ

もし数学が不安で、この時期から勉強しておきたいのなら、一番大事なことは計算力アップだ。分数の計算、文字式の変形はしっかりとマスターしておかないと、あとあと大変なことになる。もし平方根や因数分解もすでに習っているのなら、この時期に徹底的にマスターしておく必要がある。

基本の定着

難しいことができるようになりたい気持ちは分かるが、今の時期は基本を全部おさえることが一番大事だ。都立共通問題の大きな特徴は、基本問題の配点が大きいことだ。例えば数学は記述問題を除いて、簡単な問題も難しい問題も全部5点の配点になっている。しかも、応用問題は全部で4~5問しかない。4~5問というと、20~30点分だ。ということは、応用問題が1問も解けなくても、基本問題で取りこぼさなければ70点以上は絶対にとれるということだ。

応用問題は、夏休みからだんだん勉強していけば十分に間に合う。もしも夏休みが過ぎてから基礎が穴ぼこだらけだったら、その取り返しはかなりしんどい。なので、1学期の間はとにかく、上を見るよりも足元を固めることをオススメする。

この時期はまだ、問題集を買う必要はない。先生に「文字式の計算のプリントください」とか「合同のプリントください」とか言えば、めんどくさそうにしながらもよろこんで渡してくれるはずだ。

英単語を覚える

この時期、数学は基礎以外にあまりやることがない。中学数学の範囲はそんなに広くないので、基本がしっかりしていれば勉強は夏休みからで十分間に合う。また、理社はやればすぐに伸びるので、この時期はそれほど力をかけなくてもいい。なので、この時期は英単語を覚えるのがいい。なぜ英単語がいいかというと、学校の進度に関係なく、自分のペースで先々まで進められるからだ。この時期に英単語を覚えてストックしておけば、秋から余裕ができて、結果として数学に回せる時間が増える。

中学英単語ターゲット1800」「ランク順中学英単語1850

部活に集中

この時期は、しっかりと部活に打ち込んでほしい。勉強だけのやつは、面白くない。勉強は夏休みからいくらでもできる。部活は今しかできない。部活じゃなくても、勉強以外で自分が熱中できることなら何でもいい。音楽でも料理でもいい。写真でもプログラミングでもいい。勉強以外に何かに熱中したことのある人は、大人になってからも視野が広く、人間関係がうまくいきやすいものだ。

ただし、熱中する対象はなるべくゲームじゃない方がいい。ゲームはほとんどの場合、熱中しているんじゃなくて、脳みそ空っぽで時間を吸い取られているだけだ。

夏休み(7月後半~8月)

夏休みが明けて2学期になってしまうと、定期テスト対策(=内申対策)に時間がとられて、入試対策の勉強に使える時間が少なくなってしまう。なので、夏休みのうちにある程度入試が見えるくらいまで仕上げる気持ちで取り組む必要がある。特に、英数国の3科目は夏休み中に穴を無くし、一つは得意科目を作っておかないと間に合わなくなる。

夏期講習に通う

家ではダラけてしまう人は、塾の夏期講習に行こう。ふつうの進学塾であれば、だいたい夏期講習の前か、遅くとも夏期講習中くらいには3年生の内容を全部教えきる。早めに中学内容を習い切ることで、全体像がわかる。全体像がわかれば、入試向けの問題集を買って解いていけるようになる。そうすると、自分の得意・苦手分野が分かる。自分の得意・苦手分野がわかれば、得意を伸ばす、苦手を潰すといった戦略を練って、集中的に対策できるようになる。

この時期まで塾に通ってこなかった人は、中3の夏期講習から塾に入って、授業に付いていけないんじゃないかと心配になるかもしれない。これについては、しっかり塾の先生とコミュニケーションがとれる生徒であれば問題ない。塾の先生も、ついてこれない生徒がいて授業が成り立たなくなるのは一番困るので、未習分野は補習とかで対応してくれるのが普通だ(入塾する前に、補習してくれるかちゃんと確かめましょう)。ざっと一周でも聞いてしまえば、あとは授業に出ているうちにすぐにみんなと同じレベルに追いつける。

少しついていく自信がないという生徒は、やはり遅くとも中3になるくらいまでには塾に入っておくとよい。

ちなみに、塾に行かなかったからといって、絶対に志望校に合格できないかというとそんなことはない。教科書を読めば一通りのことが分かるくらいの学力があって、自分で計画を立てて勉強ができる生徒は、塾に行く必要はそんなにない。ただ、中学3年生でそこまで自律心を持つのは難しいので、やはり塾は普通の子は通った方がいいだろう。

オススメ問題集(数学)

全範囲を習い終わったこの頃にオススメの数学の問題集が以下の5冊。

 

 

下に行くほど難しくなる。どれもよくまとまっていてオススメ。書店で中身を見て気に入ったものを選んでみてほしい。

上2つは共通問題で70点、真ん中2つは共通問題で85点、一番下の塾技は、共通問題数学で満点を狙うか、グループ作成校を受ける生徒が使うレベル。

受験生の50%以上が解ける落とせない入試問題 高校入試合格BON!数学

受験生の50%以下しか解けない差がつく入試問題 でる順数学

塾技100

都トレ

都立共通問題対策では間違いなく最強の問題集。都立共通問題にそっくりなオリジナル問題が各分野につき20問近く掲載されている。これだけを何回も繰り返すだけでも満点近い点数が十分狙える。

ただ、難点があって、塾でしか買えない(個人販売・書店販売を一切行っていない)うえに、解説が全然詳しくない。なので、塾に通っていて、分からない問題をいつでも先生に聞ける環境の人にだけオススメする。あと、各単元初めの一問だけ本物の過去問なので、初めの一問は過去問演習を始めるまで解かない方がいいかもしれない。

早い人は夏休み頃から使い始めていいと思われる。もちろん冬休みになってからでも、いつ使ってもオススメの問題集。5教科とも売っているけれど、数学は特に使える。他の教科はまあまあ。

都トレ

Vもぎ・Wもぎを受ける

夏休み前か夏休み中から、VもぎかWもぎを積極的に受けよう。どちらか片方でかまわない。どちらでもほとんど違いはない。1回受けたら、同じ方を受け続けると成績変化をグラフにしてくれたりする。1回4500円かかるけど、勉強のペースメーカーとして2ヶ月に1回以上は受けることをオススメする。

Vもぎ・Wもぎが返ってきたら

成績表を見て、志望校の判定をA判定にするには、偏差値いくつが必要かを確かめる。

模擬試験の判定の見方(何判定を目指すか)は人それぞれだ。「都立に絶対に受かりたい、私立は嫌だ」という人ならS~A判定を目指す。「私立の選択肢もあるけど、できれば都立に行きたい」という人ならA~B判定を目指す。「ダメ元で受けて、もし受かったら都立に行く」という人ならC判定でもいい。

自分が目指す判定がA判定なら、A判定に必要な偏差値を見る。A判定に必要な偏差値がたとえば63だと分かったら、次は偏差値換算表を見る。すると、偏差値63に必要な3科計、5科計の点数がわかる。たとえば偏差値63に必要な3科計の点数が240点だったら、それを自分の得意・不得意に応じて、国数英に割り振る。数学が得意なら、国75数学90英語75とか。ここまでくれば、あとは「数学で90点とるには、あとどの問題が解ければいいのだろう」と考える。そうすると、具体的な戦略が見えてくる。

D~E判定だったら、勉強への取り組み方を見直すか、さもなくば志望校を変える必要がある。もちろん、D~E判定から頑張って受かる子も毎年いる(ぼくのクラスの生徒は夏休み前はD判定・E判定ばかりだった)ので、本当に受かりたくて頑張れるのであれば全然問題ない。

ケアレスミスの考え方

特に夏休み前後の頃は、Vもぎ・Wもぎが返ってきて、中身を見るとケアレスミスでいっぱい点数を落としていることが多い。そういうときに、「ケアレスミスだからおっけー」と思ってしまう子が多い。そういう子は、最後までそのミスをし続け、入試本番でもこける。全く考え方が逆なのだ。手も足も出なくて解けないのはまだいい。そういう難しい問題は、同じレベルの他の受験生も苦戦しているからだ。逆にケアレスミスは、あなただけのミスなので、直接点差になる。つまり、ケアレスミスだけは絶対にやってはいけないのだ。

二学期(9月~12月)

二学期は内申が決まるので、入試対策ばかりもしていられない。中3生にとっては、変に神経をすり減らす時期だ。内申対策をするべきか、入試対策をするべきか悩んでいる間にどんどん時間が過ぎてしまったりする。どういった勉強をするにしても、悩む時間を減らし、集中して勉強できる環境を作ることが大事だ。

二学期の内申対策

内申が1違うと、入試本番の小問1問分くらい点数が違う。微妙な差だが、この差は小さくはない。定期テスト対策をするべきか入試対策をするべきか迷ったら、「いま内申1あげるのと、入試問題で1問多く解けるようにするの、どっちが簡単だろう?」と考えてみるといい。正解はないので、自分の納得できる配分で、なるべくストレスが溜まらないように勉強するのがいい。個人的には、内申なんてめんどくさい制度は無くしてしまえばいいと思っているのだが、そんなことを言っていてもしかたない。

二学期の入試対策

この時期は数学については、基本的には夏休み後半の勉強を維持していけばOK。まだ余裕がある時期なので、塾技に載っているような、学校で習わない裏ワザ公式を新しく覚えるのもいい。

理想を言うと、英数国の3科目は夏休みのうちにある程度仕上げて、二学期は理社にも時間をあてられるといい。

過去問演習

夏休みの終わりから2学期の初め頃に一度、実際の過去問を時間を計って解いてみるといい。過去問はを買ってもいいけれど、ネットで検索すればだいたい見つかる。塾に通っている人は、塾の先生に印刷してもらって、分からなかった問題は解説をお願いしてしまえばいいので、本を買う必要はあまりない。グループ作成校や私立高校の中には、ネットで過去問を見つけにくい学校もあるので、そういう学校を目指す場合は本の過去問を買う必要がある。

過去問を解き始める時期

過去問を解き始める時期は、中学内容を全部習い終わったときをオススメする。一度過去問を解いて敵を知ることで、その対策が一気に具体的に立てられるようになるからだ。VもぎやWもぎでも中身はほぼ一緒なのだけど、やはり本物と思って解くとまた違った感覚が得られるものだ。本格的に過去問を解き始める時期は12月頃をオススメする。12月頃からしっかりとやっていくと、入試本番までに20年分の過去問を解くことができる。

過去問演習と時間の使い方

解き始めの頃は、50分間時間を計って解く。慣れてきたら、45分とかに縮めて解くことをオススメする。実際の入試本番では焦ってしまうので、丸々50分しっかり使えるとは思わない方がいい。

あと、解き方を明確に決めておく方がいい。解く順番(数学は1~5番をそのまま並んでる順番に解くのが一番良さそう)、3分考えて分からなかったら飛ばすとか、残り3分は見直しをするとか。入試本番に、どこから解こうとか、飛ばすか飛ばさないかとか悩んでいる暇はないので、ここの戦略は普段の過去問演習でしっかりと自分なりに一番良いやり方を見つけておく必要がある。

冬休みから入試直前(12月後半~2月)

続・過去問演習(目指せ20年分)

この時期は、とにかく過去問をやりまくる。共通問題の過去問だけではすぐになくなってしまうので、別の過去問にも手を出す必要がある。たとえばVもぎ・Wもぎの過去問や、グループ作成校のうち、そこまで難しくない学校(墨田川、立川など)の平成25年度以前の過去問をやる。平成25年度以前は、グループ化前の純粋な自校作成問題なので、墨田川や立川の過去問が今よりもやや簡単にできている。共通問題の過去問と、自校作成問題の過去問をあわせて20年分くらいやればかなり力はついているはずだ。

墨田川と立川の過去問がオススメ

冬休みの時期は特に、共通問題校を受ける人でも墨田川と立川の過去問を解くことをオススメする。共通問題よりもちょっとだけむずかし目の問題をやっておくことで、それに慣れてしまおうという作戦だ。筋トレと同じで、練習の段階ではちょっとキツいと思うくらいをやっておくと成長できる。この2校の過去問をある程度まとめてやっておけば、共通問題に戻ったときに少し簡単に感じるはずだ。

それに、墨田川と立川の自校作成時代の問題は、非常によくできている。立川は特に質が高い。さらに、この2校は学校のホームページに過去問を古くまでさかのぼって載せてくれており、簡単に手に入るのも良い。本当にありがたい存在。

墨田川 立川

入試直前

入試ギリギリまで、今までと同じことを信じてやり続けること。入試前日も、過去問1年分をキッチリ解くくらいがいい。変に焦っていろいろなことを試さない。また、エネルギー充電のために前日の朝から晩まで休養しすぎると、夜になって全然疲れていなくて眠れなくて困ることもある。適度に体と脳を疲れさせて、夜ゆっくり眠れるように備えよう。

入試本番

高校受験当日に必要な持ち物

入試当日

今までやってきたことを信じよう。一年間磨き上げた自分の力、ようやくそれを試すときが来た。一回きりの晴れ舞台だ。最高のパフォーマンスを見せてやろう。

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