最速・確実に実用英語を鍛える勉強法と10の良書・教材:中級編(TOEIC730レベル)

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TOEIC730点というと、英語を使う素地がしっかりとしてきた段階だ。この辺からだんだん、同じ点数でも話せる人と話せない人の差が広がってくる。はっきりいって、たとえTOEICが高得点でも英語が話せない人なんて社会的には無意味なので、この記事を読んでいるあなたにはそうはなってほしくない。TOEICの点数だけを追い求めることを悪く言うつもりはないが、英語の世界というのはもっともっともっともっと広く深く、そして楽しい

だからぼくは、使える英語を鍛えることで、自然とTOEICの点数も上げるやり方をオススメしたい。しかも、そのほうが結果的に速く、より高い英語能力を身につけることができるのだ。

 

多読

文字通り、とにかくたくさん本を読むこと。これが日本人の一番英語学習には適している。かつて英語を教えていた夏目漱石は、次の言葉を残している。

英語を修むる青年はある程度まで修めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書を沢山読むがよい。少し解らない節があって其処は飛ばして読んでいってもドシドシと読書していくと終いには解るようになる。又前後の関係でも了解せられる。其れでも解らないのは滅多に出ない文字である。要するに英語を学ぶ者は日本人がちょうど国語を学ぶような状態に自然的習慣によってやるがよい

漱石、タドキスト(多読推薦者)だったのだ。漱石ほどの方が言うのであれば、間違いあるまい。100年を経たいままた、多読ブームは起こりつつある。多読のやり方は、次のように紹介されることが多い。

  1. 辞書は引かない (引かなくてもわかる本を読む)
  2. 分からないところは飛ばして前へ進む (わかっているところをつなげて読む)
  3. つまらなくなったら止める (1 2 の原則で楽しく読めない本は読まない)

(SEG 多読三原則)

このように割りきってどんどん進めてしまうのだ。語学においては、物量作戦はかなり有効といえる。「英語は壮大な慣れだ」と言われることもあるくらいで、とにかく英語に触れることで英語力は伸びていくのだ。

以下に、TOEIC730点を目指すレベルで読むべき洋書を紹介する。ちなみに、大きめの書店によくある、レベル分けされたGraded Readersは古典を簡単に書きなおしたものが多く、つまらないし原文の味もないのでオススメしない。

Marvin Redpostシリーズ

by Louis Sachar 

アメリカの小学生Marvin Redpostの日常に起こる、若干の非日常を描いた児童書。アメリカの小学校低学年向けの本なので、単文が多く単語も簡単でめちゃくちゃ読みやすい。絵本ではないので、短くてもこれ一冊を読めば「英語で一冊本を読んだ」と自信がつくという二重のプラスもある。このシリーズに限らず、著者のLouis Sacharはくすっと笑えて、しかも心が温まる著書が多く、日本人ファンが多い。なかでも、このシリーズは特に読みやすく書かれていてオススメ。

Marvin Redpost #1: Kidnapped at Birth?

Nate the Greatシリーズ

by Majorie Weinman Sharmat

主人公のNate the Greatが小さな事件を解決していく、こども版シャーロック・ホームズ。現場に出向いて足で解決するタイプ。といっても、こどもなので推理力は高いのか低いのかよく分からないが、とりあえず可愛い。絵もかわいい。上で紹介したMarvin Redpostよりも英文は簡単に書かれている。シリーズ本だけど、つながっていないのでどれから読んでも大丈夫。ちなみにこれは2作目。

Nate the Great Goes Undercover

多読で大事なことは、自分のレベルよりやや簡単な本を選ぶようにすること。多読の目的は英語の感覚を自分に染み込ませることなので、十分に理解できるものを大量にこなすことが大事。

この段階でリーディングがすでに得意で、もう少し難しい本が読みたければ、この記事の続編にあたるTOEIC900点を目指す~に挙げた本を参考にしてほしい。

発音練習

TOEIC730点を目指すレベルなら、発音については「なんとなく一通り分かるが、自己流の発音も多い」というところ。「まあ、こんなもんかな~」と思い始めてしまう頃だ。しかし日本では特に、発音さえよければペラペラに見えるので、英語学習のモチベーションそのものを大きく左右する。発音が良ければ自信がつき、積極的に実践できることで飛躍的に英語が伸びていくので、今のうちにきっちり矯正しておきたい。

英語耳

著: 松澤喜好

言わずもがなの伝説の名著。自分は友達にあげたりして、今までに計3冊買った。友達に「発音を教えてくれ」と言われたときには、これを必ず持っていく。あるとないとで教えやすさが段違い。それほどよくまとまっている。全ての発音記号について、口の絵と発音のコツが書いてある。辞書のように見返すにも、持っておいて絶対に損はない。

英語耳

間違った発音で英文を読んでいると、その発音が自分の耳に入ることで間違いがどんどん固着し、変な聞き取りが定着してしまう。これは非常に危険なので、その後のリスニングの成長を妨げない意味でも、なるべく早いうちに発音は仕上げたい。

文法

文法はまっさきに一気に片付けてしまうべきものなので、TOEIC730点を目指すレベルならもう一通り終わっているはずだ。でも、文法の勉強は実はそれで終わりではない。このレベルの人の文法の勉強は、ただ単に正しく過去完了形やマイナーな比較の構文を作れるだけではなくて、ネイティブ感覚でいろいろな文法形式の使い分けができることを目指す。理論で文法を組み立てるのではなくて、感覚でしゃべったら文法通りだったという状態を目指す。

この勉強は、実用英語を鍛える場合、必須の作業だ。実際の会話では「え~っと、ここは現在完了の継続用法だから…」とかやっている暇はないのだ。このネイティブ感覚について書いた本は少ないが、以下のような良書がある。

Grammar in Use Intermediate

by Raimond Murphy

これ。これしかねえ。「英語は英語で勉強する」。

たとえば”had better”は日本では「~する方がよい」と習い、shouldとの違いは謎のまま終わることが多い。

これがGrammar in Use Intermediateでは、

With had better, there is always a danger or a problem if you don’t follow the advice.

Should only means “It’s a good thing to do.” Compare:

・It’s a great movie. You should go and see it. (but no problem if you don’t)

・The movie starts at 8:30. You‘d better go now, or you’ll be late.

といった具合。Shouldは単に「そうするのが良い」というときに使う。had beterは、「(問題や危険を避けるために)~すべきだ」というときにだけ使うということ。

もちろんこの例だけじゃなくて、全編に渡ってシンプルな説明と完璧な例文付きで、快刀乱麻の解説っぷり。

しかも後ろの8ページにはStudy Guideというまとめ問題がついていて、ここを解けば自分が分かっていない場所がすぐ分かる。なので、そこだけしっかりと勉強すればいいという親切設計。「これやらないで何やるの?」というレベル。文法はこれだけずっとやっていれば頂上まで突っ走れる。

Grammar in Use Intermediate

一億人の英文法

著: 大西 泰斗

「日本語でざっとおさえておきたい」という人には、これをおすすめする。この本もネイティブ感覚についての記述が多く、一通り文法学習を終えた人でもかなり参考になる部分が多い。

一億人の英文法

単語

単語の勉強は語学ではおそらくいちばん大事だ。

覚え方は人それぞれあるが、個人的に単語帳の例文は覚えないでいいと思う。それよりも、とにかく速く一周して、とりあえず全単語を見たことがある状態にすることが大事。そうすれば、多読やリスニング等、他の勉強をしていてその単語に出くわしたときに、格段に意味の予測がスムーズだし、頭に入ってきやすい。だからまずは定着率70%でも50%でもいいから、とにかく一周すること。それによって、多読との相乗効果で、実際の用例にも詳しくなれるし、結果的に速く全部覚えることになる。

単語帳

単語帳選びについては、誤解を恐れずに言えば正直どれでもいい。どれもよくできているから、今持っているものを安心して使えばいい。選ぶポイントとして一番大事なのは、デザインが好きで手に取ることに抵抗がないこと。単語の勉強で一番大事なのは、とにかくやることなのだから。

上の5つは超人気の単語帳ばかりで、どれもTOEIC730点前後を目指すレベルの人が使うのにちょうどいいから、まだ持ってない人はこの中から選ぶと安全。個人的に好きなのはキクタンとDuo。キクタンはこの上にSuperというレベルもあるので、次のレベルへの繋がりがスムーズなのもポイントが高い。

キクタンAdvanced Duo 3.0

リスニング

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この時期リスニングの勉強は苦しく難しい。そもそもリスニングやスピーキングは、リーディングやライティングに比べてかなり難しいのだ。TOEIC730点を目指すレベルでは、海外ドラマや映画を原語で楽しむのは不可能に近い。だから、実践的な練習をしようと思っても、このレベルではなかなか楽しんで実践できる勉強法を見つけるのは難しい。しかしそれほど絶望することでもなく、この時期はリーディングさえやっていれば、勝手にリスニングも伸びていく。

そうはいっても、たびたびでいいから生の英語音声に触れるのは必要。この時代、ネットで無料でできるオススメの勉強法がある。

Daily English Dictation by Coach Shane

これ。Coach Shaneは韓国やベトナム等で英語を教えてきた経験のある、超ベテラン英語講師。めっちゃおちゃめで、良い人オーラが出まくりで、しかも経験豊富で学習者の困難を知っていて、さらには英語についての洞察力もあって、しかもゆっくりしゃべってくれる。大好き。Youtubeに英語レッスンを挙げているネイティブスピーカーはいっぱいいるけど、熱意も能力もダントツ。

Daily Dictationに限らず、発音のQ&A動画もクオリティ高し。

彼の動画を見ながら、マネをして同時~1秒遅れで同じことをしゃべる(シャドーイング)のがオススメ。英語リスニングの最大の難所ともいえるリエゾン(音が連続して繋がってしまう現象)は、このシャドーイングだけで大部分自然と習得してしまう。

VOA Learner’s English

Coach Shaneよりもうちょっと教材っぽいのが欲しければ、VOA Learning English

ニュース記事を平易な英語で表現し、ゆっくりとした英語で読んでくれている。原稿も全文下にあるので、何を言っているか分からなければ下を見ればいい。かなりゆっくりとしゃべってくれているので、シャドーイング教材として非常にオススメできる

たとえば最近の例では、グーグルストリートビューを使ったGeoGuessrという場所当てゲームの記事などがあった。

これを、一回目は原稿を見ながらシャドーイングする。もしこれをやっても意味がつかめなかった場合は、音を消して原稿を黙読して意味をとる。二回目は、原稿を見ずに音声だけ流してシャドーイングする。これをやることで、英語のリズムが自然と身につく。

一応触れておくが、Speed Learning系の聞き流し教材はお金の無駄なので買わないように。


大変な長文に付き合っていただき、ありがとうございます。

初めはTOEIC730点は高い山のように思えるが、実際にはここに書いた勉強を続けていれば、あっさりと通過してしまうはずだ。どうかここにとどまらず、英語の本当の楽しみが分かるレベルを初めから目指して、最短距離を突っ走ってもらいたい。

→上級編(TOEIC900点レベル)はこちら

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